モデル短報

Mistral、新モデル「Mistral Large 4」を公開 — オープンウェイトのコーディング性能で上位に

Mistral AIがオープンウェイトモデル「Mistral Large 4(Le Chonk)」を公開。コーディング性能はオープン勢で上位も、総合力の指標では中国製オープンモデルにまだ届きません。

何が起きたか

フランス・パリ拠点のMistral AIは2026年10月29日、大規模言語モデル「Mistral Large 4」(愛称「Le Chonk」)の重み(ウェイト)をHugging Faceで公開しました。プレビュー版の発表から約3週間後の正式公開です。総パラメータ数は約1兆、推論時に実際に使う「アクティブパラメータ」は520億で、欧州内のインフラだけで学習された、誰でもダウンロードして使えるオープンウェイトモデルです。

なぜ重要か

Mistralは、オープンウェイトモデルの中でコーディング性能が最も高いと主張しています。独立に検証するArtificial Analysisの計測でも、処理速度は毎秒161トークンでプレビュー版(111トークン)から向上しました。API価格は入力100万トークン当たり0.70ドル、出力100万トークン当たり2.10ドルで、プレビュー時点の定価(1.36ドル/4.18ドル)から下がりました。一方、総合的な能力を示す「Intelligence Index」では26点で、中国製オープンモデルのDeepSeek V4.1 FlashとGLM-5.3(いずれも32点)に及ばず、同規模オープンモデルの中央値23点は上回っています。

背景

コーディング関連の指標では、Terminal-Bench 4.0のスコアがプレビュー版の28%から41%に上昇し、GLM-5.3(40%)をわずかに上回りました。Artificial AnalysisのCoding Agent Indexでは48点でGLM-5.3とほぼ同水準ながら、使用トークン数は47%少ないとMistralは説明しています。同指標で首位のClaude Code(Claude Opus 5.5利用)は62点です。サイバーセキュリティ分野でもMistralは「オープンモデルで最高」とうたいますが、同社が示した図ではDeepSeek V4.1 Flash(57点)とMiMo-V2.6-Pro(56点)がLarge 4(51点)を上回り、オープンモデルの中では3位にとどまっています。悪意あるサイバー関連リクエストの拒否率は96.6%で、オープンモデルの中では最高水準としています。

日本のビジネスへの示唆

  • 欧州内で学習された「ソブリンAI」(自国・地域内で管理できるAI)という位置づけは、データの保管場所や管理主体を重視する企業にとって、検討に値する選択肢です。
  • 修正MITライセンスで利用・改変・商用利用は無償ですが、商用クラウドサービスとして提供する場合のみ別途Mistralとのライセンス契約が必要です。標準構成ではNvidia B300 GPU 8基相当の計算資源が要るとされ、自社運用のコストも見積もる必要があります。
  • 総合的な性能では中国製オープンモデルや上位の商用モデルに及ばないため、コーディングなど速度・コストを重視する用途に絞って採用を検討するのが現実的とみられます。

出典

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