Inception、拡散言語モデル「Mercury 3」を発表 — 主要モデル上回ると主張
米Inceptionが拡散方式の言語モデル「Mercury 3」を発表。GPT-6 LunaやClaude Haiku 5.5より4〜8倍速く、ベンチマーク12項目中8項目で上回るとしているが、第三者検証はまだない。
何が起きたか
AIスタートアップの米Inception(インセプション)は2026年10月19日、拡散(ディフュージョン)方式の言語モデル「Mercury 3」を発表しました。文章を単語ごとに順番に生成する従来方式と異なり、まず全体の下書きを作り、それを段階的に磨き上げる仕組みだといいます。同社は、米OpenAIの「GPT-6 Luna」や米Anthropicの「Claude Haiku 5.5」を複数のベンチマークで上回り、生成速度は4〜8倍速いと説明しています。
なぜ重要か
GPTやClaudeなど一般的な大規模言語モデル(LLM)は単語を1つずつ順に生成するため、答えが長くなるほど待ち時間が延びます。画像生成で使われる拡散モデルの手法を文章に応用すると、まとまった単位で一気に生成できるため応答が速くなるとされます。Inceptionによると、Mercury 3はNvidia製GPU上で毎秒1,068トークンを生成し、同社の比較ではClaude Haiku 5.5が毎秒約240トークン、GPT-6 Lunaが毎秒約130トークンだったといいます。AIエージェントのように1つの作業で何度もモデルを呼び出す用途では、1回あたりの待ち時間の短縮が積み重なって効果が大きくなります。
背景
Inceptionの独自ベンチマークでは、3モデルを「medium」設定で比較した12項目のうち8項目でMercury 3が優位でした。指示追従性を測るIFBenchではGPT-6 Lunaを15点上回り、コーディング能力を測るSWE-Bench Atlasでは51.08点と両モデル(33.33点・32.26点)に大きく差をつけています。一方、長いコーディング課題のDeepSWEや長文検索ではClaude Haiku 5.5が優位で、Artificial Analysisの2項目ではGPT-6 Lunaがわずかに上回っています。第三者検証はまだありません。価格は1Mトークンあたり入力0.20ドル・出力0.70ドルで、発表時は半額の0.10ドル・0.35ドルです。Inceptionは米Nvidia・米Microsoft・米Snowflakeの各ベンチャー投資部門などから5,000万ドルを調達し、2026年2月には「Mercury 2」を発表しています。
日本のビジネスへの示唆
- 応答速度を重視するモデルが増えており、チャットボットや音声対応、AIエージェントなど待ち時間が業務品質に直結する用途では選択肢の一つとして検討に値します。
- 性能比較はInception自身の発表によるもので、第三者検証がない点には注意が必要です。採用を検討する場合は自社のデータで実測することが望まれます。
- Mercury 3は最大100万トークンまで一度に処理できるとされ、長文を扱う業務では料金面の比較ポイントになりそうです。