Microsoft、意思決定特化モデル「Decision-1」を発表
Microsoftが分類やルーティングなど定型判断に特化した小型モデル「Decision-1」をMicrosoft Foundryでプレビュー公開した。36種のベンチマークで平均精度83.5%、応答85ミリ秒を自社公表しており、低コストな専用モデル競争が加速している。
何が起きたか
Microsoftは2026年10月9日(米国時間)、意思決定に特化した小型モデル「Decision-1(Microsoft-Decision-1)」をMicrosoft Foundryでプレビュー公開した。アリババの公開モデル「Qwen3.5-9B」を土台に追加学習したモデルで、文章を生成するのではなく、あらかじめ決めた選択肢の中から答えを選ぶ用途に絞っている。分類、ルーティング(振り分け)、優先度付け、検証、ワークフロー制御などが想定用途として挙げられている。
なぜ重要か
Microsoftの自社評価によると、36種のベンチマーク・約15万問での平均精度は83.5%で、応答速度(p50)は85ミリ秒だった。速度面で次点だった「H2O-Lightning-4B」より2.5倍、大型の汎用モデル「GPT-6 Sol」より35倍速いという。精度・速度・コストのすべてで汎用の大規模言語モデルを使うより効率的に処理できる専用モデルという位置づけで、問い合わせの振り分けや承認判断など、業務システムの中で頻発する「小さな判断」を安く高速に処理したい企業にとって選択肢が増える。
背景
意思決定に特化した小型モデルという分野は、新興企業Jevが2026年9月中旬に始めた潮流とされ、OpenAIやCloudflare(Clefモデル)も同種のモデルを投入している。Microsoftの評価では、公開リーダーボード「JevBench」上位モデルも比較対象に含め、Jevの「Jev 1.13.0」(精度82.3%)などをわずかに上回ったとしている。Decision-1はFoundryで入力100万トークンあたり0.042ドルで提供され、出力トークンは課金されない。Xbox Researchは1万件超の利用者フィードバックの分類にDecision-1を使い、大規模モデル「GPT-6 Sol」と同等の品質を14倍以上速く、200倍安く処理できたとMicrosoftは説明している。
日本のビジネスへの示唆
- すべての処理を大規模言語モデルに任せるのではなく、分類やルーティングなど定型判断だけを専用の軽量モデルに切り分ける設計が広がりつつある。既存システムの構成を見直す契機になりうる。
- 応答速度とコストの両方で汎用モデルより優位な専用モデルが増えており、問い合わせ振り分けや承認フローの自動化で導入効果を検証する価値がある。
- 性能比較の指標(精度・速度・コスト)が数週間単位で更新される分野であり、特定モデルに固定せず自社での評価基準を持つことが重要になりそうだ。
出典
- Introducing Microsoft-Decision-1 in Microsoft Foundry for decision and classification workloads — Microsoft
- Microsoft-Decision-1: benchmarks and methodology — Microsoft (Command Line blog)
- Microsoft's Decision-1 model enters the fast-growing AI decision model race — The Decoder