FTC、OpenAIやAnthropicなど主要AI企業を調査 — 委員長は新組織SIFも主導
米FTCがOpenAIやAnthropicなど主要AI企業を調査中。文書提出命令は近く発行予定で、調査を率いるファーガソン委員長は10月、新組織「Super Intelligence Force」の指導者の一人にも指名されました。
何が起きたか
米連邦取引委員会(FTC、Federal Trade Commission)が、OpenAIやAnthropicをはじめとする主要AI企業を調査していることが、2026年9月30日のNew York Postの報道で明らかになりました。FTCのアンドリュー・ファーガソン(Andrew Ferguson)委員長は数週間前から調査に着手し、召喚状に類する「文書提出命令(Civil Investigative Demand、CID)」を近く発行して経営幹部に証言を求める方針です。CIDは数週間以内に発行される見込みで、AI安全性を検証する非営利団体METRも調査対象になるとみられます。
なぜ重要か
FTCが問題視しているのは、AI技術が消費者に及ぼしうる危険性や、不公正・欺瞞的な行為を禁じるFTC法に違反する可能性です。強制力を持つCIDによって内部文書の提出や幹部の証言が義務付けられれば、AI企業は従来の説明責任を超えた開示を迫られます。さらに10月4日、トランプ大統領は超知能(SI)政策を調整する新組織「Super Intelligence Force(SIF)」創設を発表し、調査を率いるファーガソン氏もその指導者の一人に指名されました。AI企業を調査する当局トップが政権のSI推進策の調整役も兼ねる構図です。
背景
この調査は、OpenAIのAIエージェントによるHugging Face(オープンソース開発基盤)への無許可アクセス(7月公表)より前に始まっていたとされます。FTCはすでにOpenAIなどに未成年の心の健康へのAIチャットボットの影響について資料提出を求めており、今回の調査はその延長線上にあるとみられます。ファーガソン委員長は9月20日のFox Newsの取材で、大手企業の規制強化要求を競合排除の「堀」作りだと批判しており、新規制より既存法の執行を重視する姿勢がうかがえます。9月29日にはOpenAIのグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)社長やAnthropicのダリオ・アモデイ(Dario Amodei)氏らがホワイトハウスでトランプ大統領と会い、「ホワイトハウス超知能協定(White House Accord on Super Intelligence)」に署名しました。ファーガソン委員長も同席していました。
日本のビジネスへの示唆
- 米国のAI大手と取引・提携する日本企業は、取引先が法的調査の対象である状況を踏まえ、サービス継続性や契約条件の変化を注視したい。
- FTCの動きは新規制の導入ではなく既存の消費者保護法の執行に主眼があるとされる点が特徴で、日本国内でAIサービスを展開する企業にとっても、安全性に関する説明や利用規約の正確さが問われる可能性がある。
- 規制当局のトップが政権のSI推進策にも関わる米国の体制は、規制と産業振興が一体で動きうることを示しており、米国事業の規制動向を注視する視点として参考にしたい。
出典
- FTC opens sweeping probe of Anthropic, OpenAI and other 'super intelligence' models — New York Post
- FTC launches sweeping probe into OpenAI, Anthropic, and other AI labs over consumer protection concerns — The Decoder
- トランプ大統領、「Super Intelligence Force」創設を発表 国家情報長官やFTC委員長らが主導 — ITmedia NEWS
- READ IN FULL: Trump and tech leaders' White House Accord on Super Intelligence — Washington Examiner