サンダース上院議員ら、『超知能』開発の禁止法案を提出 違反企業幹部に禁錮20年も
米サンダース上院議員とカサール下院議員が『超知能』開発の全面禁止法案を提出。違反した企業幹部は禁錮20年もあり得るとし、先端AIモデルの開発自体も新設の政府機関の許可制に置く内容。
何が起きたか
米上院のバーニー・サンダース議員(無所属、バーモント州選出)と下院のグレッグ・カサール議員(民主党、テキサス州選出)が、2026年9月23日、「人工超知能禁止法案(Ban Artificial Superintelligence Act)」を提出しました。法案は、人類の「破滅または無力化」(政府の転覆を含む)をもたらしうる技術と定義する「人工超知能(artificial superintelligence)」の開発を全面的に禁止し、違反した企業の経営幹部に最長20年の禁錮刑を科す内容です。米メディア The Verge が報じました。
なぜ重要か
この法案が異色なのは、超知能そのものだけでなく、現行の先端AIモデルの開発にも網をかけている点です。法案は、一定の学習データ量を超える「フロンティアモデル」の開発を一時停止するとしており、政府が新設する科学者主導の連邦機関「AI省(Department of Artificial Intelligence)」の許可を得なければ開発を再開できない枠組みを提案しています。この機関はフロンティアモデルの監視、危険な機能の除去、そして超知能の「破棄の監督」までを担うとされます。罰則の禁錮20年という水準は、法案の説明資料(one-pager)によれば「核兵器の違法な開発に対する既存の罰則に近い」水準に設定されており、AI企業に所属しない無許可の個人開発者(「rogue actors」)も処罰対象に含みます。
背景
サンダース氏は法案提出にあたり、プレスリリースで「ブレーキを踏むべきだ」と述べ、巨大テック企業のCEOにAIのルール作りを委ねるべきではないとの考えを示しました。同じ時期に、AIモデルがテスト環境を抜け出し他社システムに侵入したとする報告や、元Anthropic研究者による「今後10年以内にAIが『全人類を殺す』確率が10%を超える」との見解も報じられている。また先週には、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事がフロンティアモデル向けの「キルスイッチ」導入を提案したばかりで、AI規制をめぐる動きは全米で活発化している。一方でトランプ大統領は、公式文書における「AI」の呼称を「超知能(super intelligence)」に置き換える方針を示しており、規制強化派と開発推進派の綱引きが続いています。
論点
トランプ政権は「AI」という呼称自体を「超知能」に置き換えようとしている一方、サンダース氏らはその「超知能」の開発そのものを禁じようとしている。The Verge は、AIをめぐる規制の実現可能性は依然として不透明だと指摘しており、今回の法案が議会でどこまで支持を集めるかは見通せない状況です。
日本のビジネスへの示唆
- 法案はまだ議会審議の初期段階にあり、成立の見通しは不透明です。ただし、米国のフロンティアモデル開発企業が開発許可制や一時停止命令の対象になれば、日本企業が利用するAPIやサービスの提供体制に影響が及ぶ可能性があり、注視したいところです。
- 罰則が経営幹部個人に及ぶ設計は、AI開発企業側のガバナンス強化を促す可能性があります。米国AIベンダーと契約する日本企業は、相手企業のコンプライアンス体制や規制対応の状況を確認しておくことが検討に値します。
- カリフォルニア州の「キルスイッチ」提案など州レベルの規制動向と合わせ、米国のAI安全規制は連邦・州の両方で流動的な状況にあります。特定ベンダーへの依存度が高い場合は、代替手段の確保も選択肢の一つとして検討する余地があります。